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「家族信託」と「成年後見制度」 その2

2019.06.26

前回は「家族信託」と「成年後見制度」の概要をお伝えしました。

「家族信託」と「成年後見制度」 その1

 

今回は「家族信託」と「成年後見制度」の違いについてお伝えします。

 

 

 

「家族信託」と「成年後見制度」の違い

 

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どちらも契約を結ぶことで誰かに財産管理を任せるという点は同じです。
ただ、契約の効力がスタートする時期が違います。

 

「成年後見制度」で「任意後見契約」をスタートさせるのは前回書いた通りです。

 

一方、「家族信託」は、認知症になったかどうかは関係なく始めることができます。
裁判所が関与することもありません。
自分が信頼できる「受任者」を選び、すぐに財産管理をスタートしてもらうことができます。

 

「成年後見制度」における後見人の権限は、あくまでも法律で許容されている権限の範囲内であり、その職務について家庭裁判所の監督を受けるので、勝手に何でもできるわけではありません。
後見人は、たとえ本人の財産を増やす目的であっても、積極的な投資や運用をすることはできません。
さらに、合理的な理由もなく財産を処分することもできません。

 

逆に「家族信託」では、「受託者」の権限は契約で自由に設定することができるので積極的な財産活用も「受託者」に任せることができます。

 

例えば、本人が老人ホームに入居が決まり自宅を売却することになった場合、「成年後見制度」では「後見人」が勝手に自宅を処分することはできません。
家庭裁判所の許可が必要になります。

 

「家族信託」では「受託者」にこのような制限はなく、受託者自身の責任と判断で自宅を売却することもできます。

 

あと「成年後見制度」は身上監護ができますが、「家族信託」は身上監護を任せることはできません。

 

この身上監護とは、

 

  • 医療に関する手続き
  • 介護に関する手続き
  • 老人ホームなど施設の入退所に関する手続き
  • 家賃の支払や契約の更新などに関する手続き

 

が該当します。

 

身上監護は法律行為であり、後見人が直接介護や看護などをすることは含まれていません。

 

老後の対策を考える場合、財産の管理や処分だけではなく、身のまわりの手続きも誰かにやってもらわないと困ってしまいます。
つまり「家族信託」だけでは不十分ということになります。

 

 

まとめると、「家族信託」と「成年後見制度」のどちらが良い悪いというものではありません。

 

「家族信託」と「成年後見制度」、どちらが自分たちに向いているか迷っている方は、ぜひご相談くださいね!
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