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特例事業承継税制のリスク

2018.07.31

事業承継税制

以前、ブログで事業承継について説明させていただきました。
事業承継について①事業承継について②

 

この事業承継を応援するのが「事業承継税制」です。

 

中小企業の経営者が「よし!後継者にバトンタッチするぞ!」と覚悟ができた時に、立ちはだかる壁を少しでも低くしてスムーズにバトンタッチがきるよう応援する制度です。

 

具体的には、「中小企業の経営者が、後継者に事業をバトンタッチしてくれるのであれば、相続税や贈与税を大幅に減免しますよ」というものです。

 

 

もともと平成21年税制改正で作られましたが使い勝手が悪くて、あんまり利用されませんでした。

それが平成30年の税制改正で大幅に使い勝手がよくなりました。

 

この制度を受けることができた場合、株式にかかる贈与税や相続税をなんと最終的に100%免除してくれるのです!(平成30年1月以降)

 

こう書くとメリットしかない制度のような気になりますね。。。
でも、リスクもしっかり存在します。

 

この制度のメリットはあちこちで書かれていると思うので今日はリスクをお伝えします。

まずは、この税制を利用するにあたって守らなければならないルールをお伝えします。

 

 

スタートしてから5年間は守らなければならないルール

この制度はスタートしてから5年間は守らなければならないルールがあります。

途中でこのルールを破ると、支払いを先延ばしにしてくれていた税金を利息をつけて納めなければいけません。

 

主なルールは下記の通りです。

  1. 後継者が会社の代表者であり続けること
  2. 後継者が会社の株式を保有し続けること
  3. 会社の雇用の8割を維持すること

 

この『雇用を8割を維持する』要件は、平成30年の税制改正でよっぽどの事がない限り取消しの理由にならなくなったので実質的に撤廃されたといえます。

 

 

5年経ってからも守らなければならいルール

それは、原則、株式を保有し続けることです。

スタートから5年経ったら『社長はやめてもOKですが株式は保有し続けなければならない』のです。

 

  • もし、株式を誰かに売却してキャッシュ化したら、今まで支払いを先延ばしにしてくれていた税金を払うことになります。
  • もし、会社を解散させてキャッシュ化したり、倒産した場合も同じく税金を払うことになります。

 

 

リスクを知る

このルールを守るために、

  • 後継者が事業を継いだけど経営者としての限界を感じ誰かにバトンタッチしたくてもできません。
  • 事業を続けていくうえで組織を変更しようとしても認めてもらえない変更もあります。

 

メリットだらけの税制ではないということがおわかりいただけただましたか?

でも、このリスクを知ったうえで利用すればかなり使い勝手がいい制度です!

 

 

ゴールを知る

figure_goal_race_businessこのルールにはゴールがあります。

それは今回、この制度を利用して事業を引き継いだ2代目経営者が、3代目経営者に事業承継ができたときがゴールです。

 

かな~り息の長い話ですが多額の相続税が免除になるのであればチャレンジする価値はあるのではないでしょうか?

 

 

他にも細かい規定がたくさんある税制なので、気になる方はご相談ください