自然災害があった時に助けてくれる制度
2020.09.30
ここ数年、大規模な自然災害が増えてきたように思います。
万が一、「地震」「水害(洪水・高潮・津波)」「火山・土砂災害」などの自然災害だけでなく「ウイルス、細菌」「テロ」などによる災害に遭ったらどうなるのだろう?と想定して、その対応策を事前に検討、準備しておくことが重要です。
<実施すべき対応>
1.BCP(事業継続計画)の作成
災害の対応策として事前にBCP(事業継続計画)を作っておくことをお勧めします。
このBCPとは、中小企業庁のHPには「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。」と書いてあります。
BCPのサンプルは同じく中小企業庁のHPに載っているので参考にしてください。
災害は他人事ではないのでBCPを予め作っておいた方が「いざ!」という時に動けるし、金融機関や取引先に提出しておくと非常に信頼感が高まりますよ。
2.自然災害等に関する金融支援について
先ずは、災害などが発生して事業者が被災を受けた際には、災害救助法に基づいて中小企業支援が実施されます。
さらに被災が拡大したり、災害規模が甚大であると判断されると、「激甚災害」制度による対応策が実施される場合があります。
(1)災害救助法
災害などが発生して事業者が被災を受けた際には、災害救助法に基づいて中小企業支援が実施されます。災害救助法とは、災害直後の応急的な生活の救済などを定めた法律のことをいいます。
具体的には、災害救助法が適用された地域に対して、経済産業省は、一般的には、以下の被災中小企業・小規模事業者対策を実施します。
1)特別相談窓口の設置
適用地域の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構、経済産業局に特別相談窓口が設置されます。
2)災害復旧貸付の実施
災害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、適用地域の日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が運転資金又は設備資金を融資する災害復旧貸付が実施されます。
3)セーフティネット保証4号の適用
災害救助法が適用された適用地域において、災害の影響により売上高等が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、信用保証協会が一般保証とは別枠の限度額で融資額の100%を保証するセーフティネット保証4号が適用されます。
4)既往債務の返済条件緩和等の対応
適用地域の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会に対して、返済猶予等の既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化などについて、災害により被害を受けた中小企業・小規模事業者の実情に応じて対応するよう要請がされます。
5)小規模企業共済「災害時貸付」の適用
災害救助法が適用された適用地域において被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利で融資を行う災害時貸付が適用されます。
→さらに被災が拡大したり、災害規模が甚大であると判断されると、次に説明する「激甚災害」制度による対応策が実施される場合があります。
(2)激甚災害制度
激甚災害制度は、地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合に、中央防災会議の意見を聴いた上で、当該災害を激甚災害として指定し、併せて当該災害に対して適用すべき災害復旧事業等に係る国庫補助の特別措置等を指定するものです。指定されると、地方公共団体の行う災害復旧事業等への国庫補助のかさ上げや中小企業事業者への保証の特例など、特別の財政援助・助成措置が講じられます。
具体的には、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づき、災害救助法が適用された地域等の中小企業者等に対し、以下の通り、中小企業信用保険の特例措置、災害復旧貸付の金利引下げ等が実施されます。
1)中小企業信用保険の特例措置
市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る「罹災証明」を受けた中小企業者が事業の再建に必要な資金を借り入れる際、一般保証とは別枠での信用保証を利用することのできる特例措置が実施されます。(借入債務の額の100%を保証)。
<中小企業信用保険の特例措置>
一般保証限度額 | 災害関係保証限度額 | |
---|---|---|
普通保険 | 2億円 | 2億円 |
無担保保険 | 8,000万円 | 8,000万円 |
小口保険 | 2,000万円 | 2,000万円 |
2)日本政策金融公庫による災害復旧貸付の金利引下げ
市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る「罹災証明」を受けた中小企業者等を対象に、日本政策金融公庫が実施している災害復旧貸付について、特段の措置として金利の引下げが実施されます。
激甚災害の指定がされて実施される金融施策については、「罹災証明」が必要になります。よって、甚大な被災を受けた際には、即「罹災証明」の手続きをしておくことをお勧めします。
(3)災害救助法、激甚災害による対策が実施されない場合は?
災害救助法や激甚災害指定などに基づく中小企業対策が実施されない場合においても、政府や自治体は中小企業向けの施策を実施します。
最後にお伝えするのは「罹災証明書」です。
今回お伝えしてきた金融施策など、自然災害被害に対する様々な被災者支援を受ける際に必要になります。
この「罹災証明書」は、自然災害による被害の場合には市区町村役場などの自治体が発行します。
その申請の際に、家の被災状況の写真が必要になります。
写真の撮り方については下記を参考にしてください。
災害に遭わないのが一番ですが、万が一災害に遭った時、詳しく覚えてなくても、まずは「何か助けてくれる制度があったはず!」という事を思い出していただけたら幸いです。